近年は、後継者の不在や檀家の減少などの理由から、お寺の売却を検討せざるを得ないケースも増えています。
しかし、宗教法人が不動産を売却する際は複雑な手続きが必要なため、お寺の売却は簡単ではありません。お寺をスムーズに売却するためには、プロセスをしっかりと理解し、手順を踏んで進める必要があります。
この記事では、お寺の売却が増加している背景や売却までの流れ・注意点まで詳しく解説します。
お寺の存続に不安を感じ、売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
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お寺の売却が増加している背景と理由
お寺は地域コミュニティの中心として、これまで確固たる地位を築いてきました。しかし、現代ではさまざまな理由により、存続が難しくなったお寺がやむを得ず売却されるケースも増えています。
まずは、売却されるお寺が増えている背景について解説します。
檀家の減少
お寺の経営は、檀家からの寄付やお布施、檀家料などに支えられています。
しかし、近年は少子高齢化や若者の宗教離れなどから檀家の数が減少しており、資金繰りが難しくなった結果、お寺の売却を検討せざるを得ないケースが増えています。
お寺の後継者がいない
寺院経営者の高齢化が進む一方で、お寺の後継者がいないという寺院も増えています。
かつては長男が跡を継ぐことが一般的でしたが、現在は別の職を選んだり、都市部に定住するなどして、お寺を継がないケースも増えています。
後継者がいないと、将来的にお寺を存続させることは難しくなります。そのため、将来を見越してお寺の売却を決断する寺院経営者もいらっしゃいます。
お寺の維持費の増大
お寺の建物や敷地は、長期にわたって維持管理する必要があります。例えば、屋根や本堂の修繕、境内の清掃、庭木の手入れなど、管理すべきものは多岐にわたり、多くの維持費がかかります。
檀家が減少し、寄付やお布施といった支援が減少する中で、これらの維持費をまかなうことは難しく、その結果お寺の売却という判断に至るケースも増えています。
地域の過疎化
地方では過疎化が進み、住民の数が減少しています。それに伴い、お寺を支える人も少なくなっているのが現状です。
檀家が減るのはもちろんのこと、住民の減少で葬儀や法事などの需要も減るため、お寺の収入はさらに厳しくなっています。
特に過疎化地域では、今後も住民の増加は見込めず、寺院経営が改善される見通しもほとんどありません。このような状況も、お寺の売却を後押しする要因となっています。
そもそもお寺は売却できる?法律や規制などの基礎知識

お寺を取り巻く環境は厳しく今後も改善が見込めないことから、お寺の売却を検討する住職も増えています。しかし、そもそもお寺を売却することはできるのでしょうか?
ここでは、お寺の売却に関して、法律や規制などの基礎知識を紹介します。
宗教法人名義の土地建物の売却
お寺の土地や建物は、宗教法人名義で保有されているケースがほとんどです。
宗教法人が所有する土地や建物を売却することは可能ですが、一般の不動産とは売却における手順が異なります。
宗教法人は「宗教法人法」に基づく特別法人であり、その財産の中には「基本財産」と「普通財産」があります。
基本財産とは、法人の存続にとって重要な財産であり、以下のようなものが該当します。
- 本堂や礼拝施設
- 境内地
- 墓地
- 寺務所
- 重要文化財や仏像・経典など
そして、この基本財産を売却・賃貸・担保提供などをするには、所轄庁(都道府県知事や文部科学大臣)の許可が必要です。
所轄庁の許可や関係者の合意が得られ、宗教法人内部での正式な手続きが行われれば、宗教法人が所有する不動産を売却できます。
文化財保護法などの制約
宗教法人が所有する土地や建物の中には、文化財として指定・登録されているものが多くあります。
例えば、歴史ある本堂や仏像・庭園などは「重要文化財」等の指定を受けているケースがあります。
このような物件には「文化財保護法」に基づく制約があるため、売却や改築・移転・取り壊しなどは原則として許可が必要です。
また、文化財に付随する土地や周辺環境も保護対象となることがあり、売却後に用途変更や建築行為が制限される場合もあります。
万が一、文化財指定の確認を怠ってお寺を売却してしまった場合、買主とのトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。
このようなことから、お寺やお寺の財産が文化財の指定を受けている場合、お寺の買い手が見つかりにくく、お寺を売却しづらいと考えられます。
お寺を買うのはどんな人?
お寺の売却が増える中、お寺を買うのはいったいどのような人たちなのでしょうか。
お寺の主な購入者としては、以下が挙げられます。
- 新たに宗教活動を始めようとする僧侶や宗教法人
- 他宗派・他宗教の宗教法人
- 葬祭業を手がける企業
- 宿泊業や観光業などの事業者
宗教法人であるお寺を、企業や事業者に売却することは可能です。
ただし、売却されたあと、歴史あるお寺がどのように使われるかは不透明です。
お寺を売却する際は、買主がお寺をどのように活用しようとしているのか、売却後のお寺も引き続き地域と調和できそうかという点を確認し、慎重に検討することが大切です。
お寺の売却価格の相場はどれくらい?

お寺の売却価格の相場は、年収の3倍程度が目安と言われています(参考:president online)。
地方の中小寺院では数百万円~2,000万円ほど、都市部の立地が良い寺院は億単位というケースも珍しくありません。
大きな敷地を持つ寺院は、坪単価に面積を掛けて価格を推定するという方法もあります。
また、お寺の売却では、宗派の承認が不要な「単立寺院」のほうが、高値がつきやすく有利な傾向があります。
このように、お寺の売却価格はさまざまな要素を加味して、総合的に判断されることを覚えておきましょう。
お寺を売却する流れや手順
宗教法人であるお寺を売却する場合、特別な手続きが必要です。ここでは、売却の際の手順や流れについて解説します。
①責任役員・総代・檀家との話し合い
お寺の売却は、地域社会や信徒・檀家にとっても大きな影響がある、重要な決定と言えます。そのため、まずは最初に責任役員や総代、檀信徒と話し合いをすることが大切です。
檀家は長年にわたって寺院を支援してきた関係のため、お寺の売却に反対する場合もあります。
そのような場合は、財政難や後継者の不在といった事情を詳しく説明し、納得してもらえるようにしましょう。
②責任役員の定数の過半数による賛成の議決
宗教法人法では、基本財産の処分には、責任役員の過半数による議決が必要とされています。
売却価格や対象不動産など、売却条件を明示した上で議決を取り、議事録を作成して署名押印を行います。
③信者ほか利害関係人に対する財産処分等の公告
お寺を売却することが決まったら、境内掲示や新聞などで、一定期間の公告を行います。
これは、異議申し立ての機会を信者たちに与えるための手続きです。公告期間中に異議申立てがなければ、次のステップに進みます。
④宗派代表役員の承認
お寺の所属宗派がある場合は、宗派の代表役員の承認が必要となります。
所定の申請書類を提出し、宗派本部の承認を得るようにしましょう。
⑤所轄庁(都道府県や文科省)への許可申請
次に、所轄庁(通常は、都道府県知事)に基本財産処分の許可申請を行います。
提出書類としては、議事録や公告の資料・宗派承認書などがあります。
審査期間が1~2ヶ月かかることもあるため、早めに申請するようにしましょう。
⑥買主との売買契約の締結
所轄庁の許可がおりたら、売買契約を正式に結びます。
そして、売買代金の授受を行い、司法書士立ち合いのもと、所有移転登記を行います。
後々のトラブル防止にも役立つため、売却の過程を記録に残しておくと良いでしょう。
お寺を売却する際の注意点
お寺を売却する際の注意点は、以下のとおりです。
- 責任役員会での議決や所轄庁の許可を取るなど、法的な手続きを守る
- 関係者に丁寧に説明し、お寺の売却に関して合意を得る
- 寺院の境内に寺院墓地や納骨堂がある場合は、墓地の移転先や受け入れ先を確保する
- 重要文化財がある場合は、別途手続きをきちんと行う
お寺の売却は通常の不動産取引とは異なるため、法的な手続きをきちんと行うようにしましょう。
お寺を売却する以外に収入を増やす方法
さまざまな理由からお寺の経営が難しくなった場合、すぐにお寺の売却を検討するのではなく、寺院収入を増やして寺院経営を安定化させることも検討しましょう。
ここでは、現代の需要に対応した、お寺の経営を安定化させる方法を3つ紹介します。
①永代供養墓や樹木葬の導入
近年は「お墓の継承者がいない」「お墓の費用をできるだけ抑えたい」など、お墓に関する悩みを抱える人が増えています。
このような問題を解決できるお墓として、「永代供養墓」や「樹木葬」などの永代供養のお墓が注目されています。
永代供養とは、遺骨の管理や供養を永代にわたって寺院が行う供養方法をいいます。
永代供養はお墓の継承者が不要なこと、墓石を建立しないためお墓の費用を抑えられること、多くの場合年間管理費が不要なことから、近年人気が高まっている供養方法です。
寺院墓地に永代供養墓や樹木葬を導入することで、お墓のことで悩みを抱える人に寄り添い、安心して眠れる場所を提供できることになります。
また、寺院経営面でも収入の増加につながり、檀家以外の人々にお寺のことを知ってもらえるというメリットもあります。
②オンライン法要など新しい試みの導入
コロナ禍をきっかけに、オンライン法要を導入する寺院が増えてきました。
オンラインでの法要の実施は、遠方に住む親族や高齢者にとって利便性が高いことから、今後もニーズが増加すると考えられています。
オンライン法要を導入するメリットは、以下のとおりです。
- 新たな収入源を確保できる
- 檀家や信者との関係維持や強化がしやすくなる
- 若年層やデジタル世代にもアプローチできる
- コロナ禍のような状況は自然災害時でも法要を安全に継続できる
檀家の減少で寺院収入が減り続けると考えられるため、このような新しい取り組みを行い、収入を増やすことは非常に重要と言えます。
③寺院と地域との連携強化
お寺は本来、地域に根ざした「心の拠り所」としての存在でもあります。
現代では、この「地域と寺院との関係」が崩れつつありますが、そのつながりをもう一度再構築することで、寺院と住民との接点が増え、将来的に新たな参拝者や檀家の獲得につながります。
寺院と地域との連携を強める方法としては、以下があります。
- 地域のイベントやマルシェなどの境内提供
- 子育て世代向けのイベント(親子ヨガ、読み聞かせ会など)の開催
- 高齢者向けに「お寺カフェ」「終活セミナー」などを実施
このような取り組みを通じて培った地域の住民との信頼関係は、寺院の長期的な資産になります。
寺院がエータイの永代供養墓や樹木葬を導入するメリットと流れ

寺院が永代供養墓や樹木葬を導入することで、寺院収入の増加が見込めます。また、檀家に限らず幅広い人々に参拝や供養の場として選ばれるようになります。
ここでは、エータイの永代供養墓や樹木葬を導入するメリットや、実際の導入方法について解説します。
メリット
エータイの永代供養墓や樹木葬を導入するメリットは、以下のとおりです。
- 初期投資が不要
- 複数のお墓を一度に導入できる
- マーケティングから販売・管理までエータイに一任できる
エータイの永代供養墓や樹木葬は、初期費用ゼロで導入できることが大きなメリットです。
一般的には、永代供養墓の導入には数百万円~数千万円の初期費用が必要です。しかし、それらの資金をいつ回収できるのかが不透明なため、寺院経営のリスクが高まるというデメリットがあります。
しかし、エータイの永代供養墓や樹木葬であれば、初期投資が不要なため、寺院がリスクを取ることなく新しい取り組みを始められます。
また、お墓の導入から販売・管理まですべてエータイに任せられるため、寺院経営者の手間を取らせず、いつも通りの日常を送れることも魅力となっています。
導入の流れ
エータイの永代供養墓や樹木葬を導入する手順は、以下のとおりです。
- 顔合わせ
- ヒアリング
- プラン提出
- 打合せ
- 許可申請
- 発注・工事
- 販売
- 管理
エータイの永代供養墓や樹木葬に興味を持っていただいた場合、まずは顔合わせをして「これからの寺院をどのようにしていきたいのか」「寺院経営の問題点は何なのか」等、お話を丁寧にうかがいます。
同時に、エータイの永代供養墓や樹木葬についても詳しく説明します。
導入が決まったら、寺院経営者の希望や敷地の形状にあったプランを提案します。
古い建物や大きな石などがある場合は、撤去についても相談します。撤去費用が別途必要になることもないため、安心して導入を進められます。
お墓を導入した後は、エータイが販売活動を行います。見学希望者にお墓を案内することも、エータイのスタッフが行いますので、寺院経営者にご負担をおかけすることはありません。
このように、エータイの永代供養墓や樹木葬を導入する際は、すべてエータイに一任できます。
寺院経営者の日常を変えることなく、新しい取り組みを始められることが大きな魅力となっています。
まとめ
お寺の売却は、通常の不動産の取引とは異なるため、宗教法人法に基づく厳正な手続きや、檀家や地域社会への十分な配慮が必要です。
また、責任役員の議決や所轄庁の許可など、多くのステップを踏む必要があるため、お寺の売却は非常に複雑で、大きな労力が必要だと覚えておく必要があります。
お寺の経営や存続に不安を感じる場合、すぐにお寺の売却を検討するのではなく、永代供養墓や樹木葬の導入や、地域との関わりを強化するなど、新たな取り組みに踏み出してみてはいかがでしょうか。
特に、エータイの永代供養墓や樹木葬・納骨堂であれば、初期費用がかからず、導入から販売・管理まですべて一任できるというメリットがあります。
エータイの永代供養墓や樹木葬・納骨堂についてくわしく知りたいという人は、ぜひ資料を取り寄せてみてください。
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