
お寺の相続は、親から子供に継承されることが一般的ですが、「お寺の後継ぎがいない」「子供がお寺を継承したがらない」など、お寺の相続で悩む寺院関係者も増えています。
お寺の経営を安定させ、安心して将来に引き継ぐためには、どのような取り組みをしていけば良いのでしょうか。
この記事では、お寺の相続の大まかな流れや、お寺の相続に関する問題点、相続したいと思えるような魅力あるお寺にするための方法についてお伝えします。
お寺の相続とは?
お寺の相続とは、お寺の事業や財産を、子供や第三者に引き継ぐことをいいます。お寺の相続のほとんどが、親から子への「親族承継」ですが、後継ぎがいない場合や、子供にお寺を承継する意志がない場合は、お寺の事業や財産を第三者に譲渡するケースもあります。
お寺の相続では、宗教法人化しているかどうかによって、お寺の財産や事業の引き継ぎ方が変わります。
一般的には、宗教法人化していると、お寺の土地や本堂などの財産は宗教法人保有となります。個人でお寺をしている場合は、お寺の財産も「前住職の相続財産」と見なされ、相続税がかかる可能性があるため、注意しましょう。
お寺の財産の相続について解説

お寺の財産としては、お寺の土地や本堂、お布施などが挙げられます。ほとんどのお寺で宗教法人化していますが、一部法人化していないお寺もありますので、それぞれの場合について解説します。
お寺が宗教法人化している場合
お寺が宗教法人の場合は、お寺の財産は宗教法人名義で所有しています。お寺の代表者が亡くなった場合、お寺の財産は被相続人(お寺の代表者)の財産とはみなされないため、相続人(妻や子供など)にお寺の財産が引き継がれることはありません。
お寺の資産は「宗教法人の財産」のため、相続税もかかりません。お寺の財産がしっかりと保全されるため、宗教法人の代表者が変わった後も、今まで通り宗教活動を円滑に行えます。
宗教法人化していないお寺の場合
お寺が宗教法人ではない場合、お寺の財産はお寺の代表者、つまり住職の財産とみなされます。お寺の代表者が亡くなったら、代表者個人の資産とお寺の資産は、まとめて「相続財産」とされ、被相続人に相続されます。
妻や子供など、被相続人が複数いた場合、お寺の資産が分散されて引き継がれる可能性があります。
お寺の財産が分散されてしまうと、次の代表者が宗教活動を安定して行えなくなる可能性があるため、注意が必要です。
お寺の事業の相続について
お寺の「宗教活動という事業」の相続は、宗教法人の場合は、規則にのっとってきちんと行う必要があります。
お寺が宗教法人化している場合
宗教法人は、宗教法人法第18条1項により「宗教法人には、3人以上の責任役員を置き、そのうち1人を代表役員とする」と定められています。
宗教法人であるお寺を引き継ぐ場合は、宗教法人法および宗教法人内部の規則に則り、代表役員の変更手続きを行います。
多くの場合、寺院の代表役員は住職がつとめるという規則が多くなっています。
次の代表役員の決め方としては、責任役員の互選によって選ばれることが多いものの、現在の代表役員が指名する場合や、選挙が行われることもあります。
代表役員が決まったら、2週間以内に宗教法人の登記変更や、役員名簿の変更が必要になります。
宗教法人化していないお寺の場合
お寺が宗教法人ではない場合、お寺として特に必要な手続きはありません。お寺の財産は、お寺の代表者個人のものと合算され、通常と同じように相続税の申告などを行います。
お寺の相続における問題点

お寺の相続は、多くの寺院経営者にとって非常に大きな問題です。自分が引き継いできたお寺を末永く存続させたい、自分の代で終わりにしたくないと考えるご住職も多いでしょう。しかし実際は、多くのお寺がさまざまな相続問題に直面しています。
ここでは、お寺の相続における主な問題点を、3つ紹介します。
親族にお寺を相続する人がいない
お寺の相続では、親から子へと引き継がれる「親子承継」が一般的ですが、少子化で後継ぎがいないケースも増えています。
また、子供はいるものの、お寺を継ぎたくないと考える場合もあります。
お寺を相続してくれる外部の人間がいない
お寺を相続するのは、親族と決まっているわけではありません。お寺の後継ぎがいない場合、手順を踏めば、親族以外の人にお寺を相続してもらうことも可能です。
お寺を親族以外の人に継いでもらう「第三者承継」は、数は少ないものの一定数はあります。
実際、「廃寺になるよりも全然良い。親族にこだわらないので、誰かお寺を継承してほしい」と考えるご住職も多くいます。ただ、お寺を相続してくれる外部の住職の方がなかなか見つからないというのが現状です。
お寺の経営が不安定で相続したがらない
檀家料やお布施などの収入が少ない等の理由で、お寺の経営が不安定な場合は、お寺を相続したいという気持ちがなかなか芽生えないという問題もあります。
お寺としての収入が少ないと、住職の給与が少なくなり、生活が苦しくなります。実際にお寺の住職としての収入だけでは生活が難しく、副業をしている住職も多くなっています。
お寺としては、経営を安定化させ、安心してお寺を相続してもらえる環境を用意する必要があります。
相続したいと思えるような魅力あるお寺にするには?
「相続したい」「お寺を継いで将来につなげたい」と思える魅力あるお寺にするには、どうすればよいのでしょうか。主なものを3つ紹介します。
お寺の経営を安定化させる
お寺の経営が安定していることは、最も大切な要素です。住職としての収入だけで生活していけず副業を余儀なくされたり、お寺の資金繰りに追われる可能性があれば、お寺を相続したいと思えなくなります。
お寺の主な収入は「檀家料」や「法要のお布施」の二つですが、今後は高齢化・少子化で檀家が減り、檀家に関わる収入が減ってしまうことも考えられます。
檀家料やお布施だけで寺院経営を安定化させるのは難しい時代になりつつあります。今後は、複数の収入源を持てるように取り組みましょう。
お寺としての収入源を増やし、住職が日々の生活に不安なく、住職の仕事に集中できるような環境を作り出すことが大切です。
お寺と地域の人とのつながりを強化する
お寺には非常に長い伝統があり、伝統を受け継いできたからこその重みやありがたさがあります。
ただ、近年は人々の生活とお寺との間に、距離が広がりつつあるのも事実です。
このような現状を変えていくには、お寺として新しいことにチャレンジする必要があります。
例えば、あるお寺では、法要の際に落語家を呼んだり、手品ショーを開催するなどして、従来の法要の概念を変えて「楽しい」と感じてもらえるような工夫をしたところ、大変好評だったということです。
また、お寺の中で精進料理教室を開催するなど、さまざまな企画を実現しているケースもあります。地域の見守りをしたり、お祭りを開催するなど、子供と関わるような取り組みをしているところも多くあります。
このように、さまざまな取り組みを通して地域におけるお寺の存在感を高めることで、より魅力あるお寺に変えていくことが可能です。
新しいことに取り組める環境を作る
近年はお寺の経営で、住職がSNSで日常を発信したり、有名人とコラボレーションしたりと、現代ならではの新しい試みをするところも出てきています。
新しい取り組みがしやすい雰囲気があったり、過去に新しいことをして結果が出ているというお寺であれば、意欲ある若い人も、お寺を相続したいと考えてくれるでしょう。
お寺の経営を安定化させる方法は?

魅力あるお寺のためには経営を安定させることが大切です。寺院経営を安定させるために最も重要なことは、お寺の収入を増やすことです。お寺の収入が増えれば住職の生活も安定し、お金のことについて心配する必要がなくなります。
また、新しい取り組みもしやすくなり、前向きな寺院経営ができるようになることから、安心して相続してもらえるお寺になります。
お寺の収入源は檀家からのお布施が主ですが、それ以外にもお寺が収入を増やす方法として、以下のような方法があります。
- 寺院における葬儀「寺院葬」を行う
- 永代供養墓を寺院経営に取り入れる
- SNSでマーケティングをし、参拝客を増やす
- お守りなどのグッズを充実させる
- 寺院のスペースを書道教室などで使ってもらう
近年は、葬儀会社で葬儀を行い、読経に住職が呼ばれるというスタイルが一般的ですが、ひと昔前は寺院葬が多く行われていました。
寺院葬とは、お寺の本堂で行う葬儀のことで、利用者にとっては、厳粛な雰囲気の中で葬儀を執り行えること、葬儀会社で行うよりも葬儀費用が安く抑えられるというメリットがあります。
お寺で葬儀を行うことで、寺院墓地の利用にもつなげられる可能性があります。
また、永代供養墓を寺院に導入して収入を増やすという方法も人気で、取り入れる寺院が増えてきています。
そのほかにも、ホームページやSNSを活用して参拝者を増やしたり、お寺の空いたスペースを教室などに貸して、さまざまな人にお寺に足を運んでもらうという方法もあります。
教室の開催は、お寺に来ることを習慣化してもらい、お寺を身近な存在に思ってもらえるというメリットがあります。
お寺の収益源を増やす永代供養墓経営とは
永代供養墓経営とは、永代供養墓を寺院内に建立して檀家以外の人にも販売することで、現金収入を増やし、お寺の経営を安定化させることをいいます。
近年は少子化が進んでいます。また、宗教観も変化しており「信仰する宗教がない」と答える人も増えています。このようなことから、今後は檀家が減る可能性が高く、檀家からの収入も少なくなると考えられています。
永代供養墓であれば、檀家かどうかに関わらず、誰にでも自由に購入してもらえます。現金収入が増えるのはもちろんですが、檀家以外の人との新たな繋がりができるというメリットがあります。
永代供養墓を導入するとお寺の経営は安定するか
永代供養墓は、お墓の管理や供養を、永代にわたって寺院が行うお墓のことをいいます。
永代供養のお墓は、お墓の承継者が不要で、一般墓に比べて費用も安く抑えられるというメリットがあるため、以下のような人に選ばれています。
- 独身の人
- 子供がいない人
- 遠方のお墓を墓じまいして、身近な場所に納骨したい人
- 自分のお墓は自分で生前に決めて購入したい人
一般的なお墓は、お墓を管理していく人、つまり「お墓の承継者」が必要ですが、お墓を継ぐ人がいない場合、お墓は荒れてしまいます。
また、お墓の承継者がおらず管理料を滞納し続けると、最終的には「無縁仏」と判断され、お墓は強制撤去されてしまいます。
お墓の承継者がいない独身の人や、子供がいない人は、このような事情により一般墓で眠ることは難しく、「お墓を持てない」と不安を抱える人も増えています。
このような問題を解決してくれるのが「永代供養墓」です。
永代供養墓は、お墓の承継者がいない人、さまざまな事情で墓じまいをしたい人などの要望に応えられるお墓であるため、近年ニーズが高まっています。
ただ、永代供養墓は多くの人に人気があるものの、提供している寺院はまだまだ少ないのが実情です。
お寺に永代供養墓を建立し、お墓のことで不安を抱える人の希望に応えることで、安心して眠ってもらえる手助けをすることにもなりますし、寺院収入を増やすこともできます。
エータイの永代供養墓を導入するメリット

弊社エータイは、いくつもの種類の永代供養墓を取り扱っており、お客様のさまざまな希望に応えられるようになっています。
エータイの永代供養墓を導入するメリットは、以下のとおりです。
- 初期投資が不要
- 一度に複数の種類のお墓を作れる
- 大きな石などの撤去費用もかからない
- マーケティングから販売までエータイに一任できる
まず、まとまった初期費用がかかりません。新しいことにチャレンジしたいけれど資金に余裕がないというお寺でも、問題なく永代供養墓を導入できます。
また、永代供養墓の建立だけでなく、過去の販売経験に基づいた、効果的なマーケティングができることも、エータイの大きな強みです。
永代供養墓を導入後、販売を寺院が行う場合もありますが、マーケティングの知識や経験がないため、販売数が伸びないことも少なくありません。
エータイでは、過去の成功事例やノウハウをもとに、広範囲にわたる効果的なマーケティングを行い販売につなげます。
万が一、予定通りに区画が売れなかった場合でも寺院経営者が負債を負わない仕組みのため、安心できます。
エータイの永代供養墓はすべて一任できるため、寺院経営者の本来のお勤めや仕事に悪影響を及ぼすことはありません。今までの生活を変えることなく、新しい取り組みができることが魅力といえます。
エータイの永代供養墓の導入方法
永代供養墓を実際に導入する手順について、エータイの場合を参考にご紹介します。
永代供養墓の導入は、以下のように8つのステップがあります。
- まずは問い合わせ
- 顔合わせし、寺院の希望をヒアリング
- 寺院の希望に合ったプランを提案
- お互いに合意したら、契約書を取り交わす
- 工事を発注し、永代供養墓を建立する
- 永代供養墓の販売開始
永代供養墓の導入にかかる期間は、およそ4〜5か月です。ヒアリングからご提案までは約1ヶ月、工事の発注から完成までは、平均で約3~4ヶ月かかります。
永代供養墓のマーケティングや販売・墓地の掃除や管理まで、すべてエータイが行うため安心してお任せください。
お寺の経営改革に取り組みたいと考えている人は、ぜひエータイの資料を取り寄せてみてください。
まとめ
お墓の相続をスムーズに行いたい場合は、寺院経営を安定させることが大切です。お寺の相続は先の話と考える寺院経営者もいらっしゃるかもしれませんが、一般的な企業の事業承継では、10年以上の時間をかけてじっくりと行うケースも多くなっており、早すぎることはありません。
永代供養墓の導入など、お寺の経営状態を良くするための施策をしたり、お寺と地域の人との繋がりを少しずつ強くしていくなど、将来お寺をスムーズに相続できるためにできることはいくつもあります。
お寺の相続の準備に早すぎるということはありません。将来のスムーズなお寺の相続にむけて、ぜひ経営強化の取り組みをはじめてみてください。