永代供養墓事業で寺院の経営は安定するのか?実例や導入の流れも解説

近年、永代供養墓を建立し、経営を改革しようとする寺院が増えています。

寺院は檀家の方からのお布施や寄付が主な収入源ですが、永代供養墓を取り入れることで収入の柱を複数持つことができます。

この記事では、寺院が永代供養墓事業を取り入れるきっかけや、寺院のメリット・デメリット、実際に永代供養墓を取り入れた寺院の実例などを紹介します。

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永代供養墓経営とは?

永代供養墓・樹木葬イメージ

永代供養墓経営とは、寺院内に永代供養墓や樹木葬といった永代供養のお墓を建立して運営や管理を行うことをいいます。

 

一般的に寺院の主な収入源は、檀家の方からのお布施や寄付などです。

寺院は地域の中心的役割として機能し、檀家の方をはじめとした地域住民に支えられながら長年続いてきました。しかし、日本の少子化や宗教観の変化などにより、今後檀家数が減ることが予想されることから、将来の寺院経営には不安要素が多くあります。

そういった背景から、寺院を安定経営するための柱として、永代供養墓経営を考える寺院が増えています。

 

永代供養墓経営で建立する「永代供養墓」は、誰でも購入できることが大きな特徴です。

寺院にとっては永代供養墓を建てることで、今までつながりがなかった人と新たなご縁ができる機会を得られ、その結果、地域との繋がりの強化・寺院の活性化・収入増につながるというメリットがあります。

近年の日本社会の流れとして、海外と同じように「個人の考え」が尊重される傾向にあります。お墓に対しての考えも同様で「先祖代々のお墓ではなく、自分の好きな場所で眠りたい」と考える方が増えています。

また、今までは「お墓は子供が継いで守っていくもの」という考えが一般的でした。

しかし、近年は「子供に精神的・金銭的な負担をかけたくない」と考える親世代が増えており、後継ぎに負担のない永代供養墓を生前に契約したり、先祖代々引き継いできたお墓を自分の代で墓じまいをし、永代供養する方も増えています。

ライフスタイルが多様化する現代、生活者の需要に合わせて、お墓の形態も様々なタイプが増えてきました。

以前のようにお墓といえば一般墓というイメージは変化しており、インターネットを使って一般墓と永代供養墓をじっくりと比較し、最終的に永代供養墓を選ぶ方が増えています。

このように、さまざまな理由から永代供養墓のニーズが高まっていますが、永代供養墓の数はまだまだ少ないのが現状です。

 

お布施や寄付以外の収入源を持つという目的だけではなく、地域や社会のニーズに応えるという意味でも、永代供養墓経営の導入は寺院にとって大きな意味があるといえるでしょう。

お寺が永代供養墓を始めるきっかけは?寺院経営の厳しい実態

寺院外観

永代供養墓経営は、どの寺院にとっても新しい試みですが、導入している寺院も徐々に増えています。最初の一歩を踏み出した理由として「檀家の方からの声」「寺院を取り巻く厳しい現状」や「寺院存続の不安への対策」を挙げる寺院が多くなっています。

それでは、寺院が永代供養墓経営をはじめるきっかけともなっている、寺院が置かれている現状について、くわしくみていきましょう。

永代供養墓経営のきっかけ:①檀家の方の声

寺院経営を長らく支えてくれた檀家の方の中にも、やむを得ない事情から、墓じまいをするケースが増えています。

例えば、今までお世話になった寺院で眠りたいものの、後継ぎがいないために墓じまいをせざるを得ないというケースや、子供が地元に戻らずお墓の管理を続けていくことが難しいため、お墓を都心に移さざるを得ないというケースが挙げられます。

今までお寺と強いつながりを持ち、今後も支えていきたいという考えを持ってくれていても、「後継ぎがいない」「子供が地元に戻らない」等の問題はどうすることもできません。このような理由から、檀家の数が減っているのも事実です。

現状では、このような檀家の方に提供できるお墓が無ければ、他の霊園などに移ってもらわざるを得なくなりますが、寺院内に後継ぎの心配がない永代供養墓があれば、安心して眠ってもらうことができます。

また、後継ぎがいる場合でも、その次の世代まで続いていくかどうかは不透明です。少子化の時代ということもあり、「今は良くても、将来はどうなるかわからない」と、お墓を代々維持することに対して不安を感じる方も増えています。

しかし寺院内に永代供養墓があれば、将来どのような状況になっても安心して眠れるという安心感を持ってもらえ、結果的に檀家離れを防ぐことにもなります。

永代供養墓経営のきっかけ:②価値観の変化

永代供養墓経営をはじめた寺院の多くが、仏教を信仰する人が少なくなっていると感じています。

NHK放送文化研究所が参加しているISSP(International Social Survey Programme)が行った調査「日本人の宗教意識や行動がどう変わったか」によると、「ふだん信仰している宗教がありますか」という質問では、はいと答えた人が2018年時点で36%にとどまっており、信仰心がある人が少ないことが分かります。

信仰している宗教の内訳は「仏教」が31%、「神道」は3%、「キリスト教」が1%となっています。仏教が一番多いものの、そもそも宗教を信仰している人が少ないため、仏教の絶対信者数はそれほど多くはありません。

また、仏教を信仰している人の年齢別割合と年度別比較は以下となっており、若い年齢層では信徒が少ないことがわかります。

男性2008年2018年
18~39歳17%16%
40~59歳29%28%
60歳以上48%47%
女性2008年2018年
18~39歳19%17%
40~59歳28%22%
60歳以上54%43%

40歳以上の女性では、仏教を信仰している人の割合が、2008年から2018年にかけて大きく減っていることもわかります。

これらの結果から、今後世代交代が進むと、仏教を信仰する人や檀家になる人はますます減っていくと予想できます。

 

ただ、信仰心がない人であっても、安心して眠れるお墓は必要です。

宗旨や宗派、檀家制度にとらわれず、好きな場所で、好きな形態のお墓で眠りたいというニーズに応えられるのが、近年人気が高まっている永代供養墓だといえます。

永代供養墓経営のきっかけ③:日本の貧困化

永代供養墓経営のきっかけとして、金銭的に厳しい人が増えたことでお布施の相場が下がり、寺院収入が低くなっていることも挙げられます。

令和4年分の民間給与実態統計調査(国税庁)によると、平均給与は458万円となっています。約20年前の平成15年度の平均給与は444万円なので、金額はあまり変わりませんが、消費税や社会保険料の増加、子供の扶養控除の廃止などにより、手取り額は以前よりも大幅に減っています。

厚生労働省の「平成15年就労条件総合調査」、および「令和3年賃金情報等総合調査」によると、定年時の退職金の額も減ってきていることがわかります。

退職金(大学卒/管理・事務・技術職)
平成15年2,499万円
令和4年2,230万円

そもそも、老後2,000万円問題と言われるように、年金だけでは老後の生活が立ち行かないという問題もあります。

このように、金銭的に余裕がない方が多いことも、寺院経営にとってはマイナス材料になっています。

永代供養墓経営のきっかけ④:新たな形態のお墓の台頭

新しいタイプのお墓である「永代供養墓」への注目度が高まってきていることも、永代供養墓経営を後押しするきっかけになっています。

 

永代供養墓には「樹木葬」「納骨堂」「合祀墓」「永代供養付個別墓」などがあり、さまざまな形態のお墓から、自分に合ったものを選べるというメリットがあります。

このように、お墓の選択肢が増えたことは、お墓を探す人にとっては良いことです。

 

一般墓しか扱わない寺院にとっては、永代供養墓の台頭はマイナス材料ではありますが、永代供養墓経営を導入することでこの現状をプラスに変えられます。

 

株式会社鎌倉新書が行った「お墓の消費者全国実態調査」によると、一般墓よりも永代供養墓を購入する人の割合がすでに多くなっています。

このように、世の中の主流はすでに永代供養墓になっているため、ニーズに応えられる永代供養墓を導入することは、寺院の生き残りのために必要なことといえます。

社会ニーズに応えるお寺になれるのは永代供養墓経営のメリット

墓域イメージ

近年は、お墓に対するニーズが多様化しています。多くの方に安心して眠ってもらえる場を提供できることが、永代供養墓経営のメリットです。

今まではお墓といえば「一般墓」しかなく、ある意味選ぶことができなかった状態から、自由に好きなお墓を選べる状況に変わりつつあります。

このことは、檀家を収入源とする寺院にとってはマイナス要素といえますが、逆の見方をすると、自由にお墓を選ぶ人たちが増えているということでもあります。

檀家以外にも門戸を開き、現代のニーズにあった永代供養墓を提供できれば、今までは関わることがなかったような人との新たな出会いを構築できるチャンスにもなり得ます。

安心できるお墓で眠りたいという希望は、今も昔も変わりません。

寺院として、永代供養墓経営を導入して希望をかなえるお墓を用意することは、大きな意味があるといえるでしょう。

永代供養墓を取り入れると寺院の経営は安定するのか?

永代供養墓経営を取り入れると、収入の柱が増えるため、寄付やお布施に依存している収益構造から脱却できます。このことにより、経営は今までよりも安定するといえます。

また、年間管理費のかからない永代供養墓は、生前購入する人が多いお墓です。永代供養墓を購入してもらうことが、葬儀や四十九日など将来の法要需要にもつながるため、日々の収入も上がります。

寺院の収入が上がると、施設の修繕や改築・増築など「お寺の魅力」を上げるための資金ができ、その結果、檀家の方にお願いする寄付を少なくできます。

 

このように、永代供養墓を導入することで、檀家の方の負担を軽減できるというメリットもあります。

永代供養墓の導入で経営リスクが増える場合もある

永代供養墓の導入は寺院経営の安定化に役立ちますが、永代供養墓の導入方法によっては、経営をより不安定化させるリスクもあります。

例えば、石材店と提携して独自に永代供養墓を建立する場合、まとまった初期費用がかかる場合があります。また、売れ残った場合は建立費用を回収できず、負債が残るリスクもあります。

永代供養墓経営はエータイにご相談ください

弊社エータイの永代供養墓は、初期費用は一切かからず、永代供養墓の建立から宣伝広告、販売、清掃掃除などの管理まで一貫して任せられる仕組みになっています。

 

何か新しいことをしたいものの、初期投資するお金がないという場合でも、安心して永代供養墓を導入できます。また、寺院経営者は多忙なことが多く、永代供養墓の宣伝や見学希望者への案内などに時間を割けないという方も多くいます。

エータイでは、マーケティングから見学希望者の案内・契約手続きまですべて一任できるため、日常の生活が乱されることもありません。

エータイの永代供養墓では、金銭的なリスクや、時間を取られるリスクなど、一切のリスクを負わずに始められることが大きなメリットとなっています。

お寺ごとに最適なご提案をいたしますので、まずはお気軽にお悩みをご相談ください。

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永代供養墓経営を取り入れたお寺の実例

永代供養を取り入れた寺院は、どのような思いで永代供養墓を建立したのでしょうか。寺院の実例を3つ紹介します。

東京都港区・妙善寺の実例

妙善寺-事例

永代供養を取り入れた妙善寺は、少子化で墓地を継承することが難しい時代になったと感じていました。エータイを通してマンション墓や観音廟を用意し、お墓の選択肢を増やしたことで、後継者がいない檀家の方や、今までまったくご縁がなかった人にも安心して利用してもらえるようになったとのこと。今後も新しいニーズに応えていきたいとのことです。

 

参考:【住職インタビュー】徳川時代から400年受け継がれてきた文化を100年、1,000年先も ─ 東京都港区・妙善寺

東京都町田市・廣慶寺の実例

廣慶寺-墓域
廣慶寺墓域

廣慶寺は、時代の流れに合った、さまざまな人に寄り添えるお墓を作りたいということで、永代供養墓を導入しました。

子供に恵まれなかったり、離婚をするなどして、お墓の後継者がいない方が増えていると肌で感じていたとのこと。このような方にも安心して眠ってもらえるお墓を用意したいと考え、永代供養墓を導入しています。ペットも家族の一員と考え、ペット専用のお墓も用意しているとのことです。

 

参考:【住職インタビュー】相手の立場に立って考え、様々な人に寄り添い続ける - 東京都町田市・廣慶寺

東京都府中市・常久寺の実例

常久寺-外観
常久寺外観

常久寺は、檀家以外の人も受け入れたいと考え、エータイを通じて永代供養墓を建立しました。建立後は、お墓参りに来る人も増え、お寺が大変賑やかになったとのこと。永代供養墓をきっかけにして、多くの方が訪れてくれるようになり、明るく活気があるお寺になったと喜んでいるとのことです。

このように、永代供養墓を導入している寺院は、現代の様々なニーズに寄り添っていきたい、承継者がいなくて困っている方にも安心して眠ってもらいたいという思いから、永代供養墓を導入したことがわかります。

永代供養墓経営を取り入れると、新しい人との関わりが増えて寺院に活気が出ることも大きなメリットといえます。

 

参考:【住職インタビュー】一人一人の目線に合わせ、 誠実であり続けることを心掛けて - 東京都府中市・常久寺

寺院が永代供養墓経営を導入する流れ

最後に、寺院が永代供養を導入する流れについて、弊社エータイの場合を参考にご紹介します。寺院が永代供養墓経営を導入する流れは、大きく分けて以下のように8つのステップがあります。

  • 1.顔合わせ
  • 2.ヒアリング
  • 3.プラン提出
  • 4.打合せ
  • 5.契約
  • 6.申請
  • 7.工事
  • 8.販売

ヒアリングから打合せまでは約1ヶ月、工事の発注から完成までは、約3~4ヶ月かかります。

ヒアリングでは、どのような永代供養墓が良いか、寺院のどの場所に永代供養墓を建立したいかなど、寺院の希望を伝えます。

建立したい区画に撤去すべきものがある場合は、撤去についても相談します。撤去物があった場合でも、持ち出しの費用はかからないので安心できます。

永代供養墓を販売するためのマーケティング、永代供養墓の見学の案内、契約手続きなども、すべてエータイのスタッフが行います。

このように、永代供養墓の導入をしても、寺院経営者は貴重な時間を取られることなく、今まで通りの生活を送れることも、エータイを利用する大きなメリットです。

まとめ

永代供養墓経営は、社会が求めているお墓の形態を提供する、前向きな経営方法といえます。

永代供養墓経営を取り入れることで、檀家の方以外の方との新たな出会いがあることから、経営の安定化だけでなく、寺院の活性化にもつながります。

エータイの永代供養墓であれば、初期投資が不要で、永代供養墓に関する様々なことをすべて一任できます。

 

永代供養墓経営について、くわしく知りたいという方は、ぜひ資料を取り寄せてみてください。

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