エータイから手紙が届いたことをきっかけに、ご縁を持って永代供養墓を取り入れることになった親王山延命寺。
桜の名所として知られる延命寺の景観を活かし、春は桜、秋には紅葉など四季折々の美しい風景が望める境内の一角に永代供養墓エリアを計画。
通路を共有し各永代供養墓を一体化させるレイアウトにし、視覚的には独立しているかのように各墓域を生垣で囲む植栽を配しました。
本堂から墓域までのアプローチは、敷石を意図的にずらし、直線的につくらないことで、視覚的な奥行きとやわらかさを演出しています。
建立後は御寺族によるハープの演奏会等を定期的に催していただき、人々が集う魅力的な墓域になっています。
永代供養墓・樹木葬導入の背景
お墓をめぐる環境も、10年後20年後には継承すること自体が問題になる時代が来るのではないかと、将来を見据えておられた根本住職。
子供が授からなかったご夫婦、子供はいるが予てから夫婦二人の墓地を探していたといった条件の方々のニーズから個人墓・夫婦墓・樹木墓を取り入れられました。
空高く、花と緑と光がふりそそぐ墓域


樹木葬(自然葬)
・角地であることから中心を角に配し、扇形の平面形状をした樹木葬を計画。
・通路からみて曲線が面することで、やわらかい印象とした。
・墓域全体を見守っているように観音像を角(扇型の中心点)に配置。
・植樹したタマリュウの他、苔や飛来した草花の種が根付き、設計意図にない、風土に馴染む樹木葬となった。
永代供養付個別墓「やすらぎ五輪塔」
・風をモチーフにした軽やかな印象を持つガラスを取り入れた個別墓。
・ガラス自体の青緑色が、空と周囲の緑地と馴染みやすく、また、ガラスの蓋や飾り屏風にも風を感じさせる彫刻を施している。
永代供養付個別墓「やすらぎ個別墓」
・同じマンション型の個別墓でも墓域内の多様性を感じされられるよう、石材の重厚感を残した個別墓を計画。
・各故人の前で献花できるよう、花立と香炉の乗るカウンターを独立させて設計した。
・すでに墓域内に2体の聖観音像があることから、幾何学的なオブジェを用いた飾りで意匠でまとめた。
永代供養付個別墓「冥福五輪塔」
・墓域エリアの雰囲気を残し増設できるよう、 既存生垣の位置に配置した。
・既存生垣は通路を挟んだ奥に移植することで、通路分墓域が拡張されたような印象を意図した。

親王山延命寺住職 根本智道さま